市販薬の乱用防止に向けた法改正と今後の課題
改正法の成立と背景
2025年5月、市販薬の乱用を防止するための改正法が成立しました。近年、若者を中心に市販薬を大量に摂取するオーバードーズ(OD)が深刻化しており、健康被害や依存症のリスクが高まっています。今回の法改正は、こうした状況に対応するため、市販薬の販売制限や相談体制の強化を目的としています。
コンビニでの薬購入とセルフメディケーションの加速
薬機法改正によるコンビニでの販売拡大
一方、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の改正により、コンビニエンスストアなどでも市販薬が購入できるようになりました。これは、セルフメディケーションを推進し、国民が自らの健康管理を積極的に行うことを目的としたものです。しかし、手軽に薬が手に入るようになったことで、オーバードーズのリスクが高まる懸念も指摘されています。
オーバードーズの実態と社会問題化
若年層における風邪薬OD
特に若年層の間では、「風邪薬でパキる」といった言葉が広まり、風邪薬を大量に摂取して酩酊状態になる行為が問題視されています。市販薬は医療用医薬品に比べて入手が容易であり、SNSなどを通じて情報交換が行われることで、オーバードーズが蔓延する一因となっています。オーバードーズは、急性中毒や精神疾患、自殺企図など、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。
医療保険制度の見直しと市販類似薬の問題
類似薬処方への提言
日本経済新聞の社説では、市販品と類似した薬が医療保険の適用対象となっている現状に対し、保険適用の見直しを求める提言がなされています。医療費の抑制という観点から、市販薬で対応可能な症状に対しては、保険適用を制限するなどの対策が検討されるべきであると指摘しています。これにより、国民のセルフメディケーション意識を高め、適切な医薬品利用を促進することが期待されます。
CGRP関連抗体薬の費用負担と医療の進歩
片頭痛治療薬の進展
日経メディカルの記事では、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)関連抗体薬という新しい片頭痛治療薬が登場し、その費用負担や安全性について議論されています。これらの薬剤は、従来の治療法で効果が得られなかった患者にとって有効な選択肢となり得る一方、高額な薬剤費が課題となっています。また、妊婦への安全性についても、十分なデータが蓄積されていないため、慎重な投与が求められます。医療の進歩は、患者のQOL(生活の質)向上に貢献する一方で、費用負担や倫理的な問題など、新たな課題も生み出しています。
参考サイト