在職老齢年金の基準見直し
年収要件の引き上げ
在職老齢年金制度では、年収が一定額(2023年時点では70万円)を超えると受給できる年金額が段階的に減額されます。厚生労働省は、2026年4月にこの年収要件を引き上げ、年金額の減額幅を縮小する方向で検討を進めています。これにより、高齢者の就労意欲を向上させ、労働力不足の緩和につなげることが期待されています。
一定期間の在職で満額受給
現行制度では、満額の年金を受給するには40年以上保険料を納付する必要があります。しかし、近年では非正規雇用が増加していることもあり、この条件を満たすことが難しい人も少なくありません。今回の見直しでは、一定期間(10年以上などの案が検討されている)在職すれば満額を受給できるようにする案も浮上しています。
中小企業への支援策
高齢者の雇用促進には、中小企業の支援も不可欠です。政府は、高齢者の雇用を促進する中小企業に対して助成金を支給するなど、支援策を拡充する検討に入っています。これにより、企業がより積極的に高齢者を雇用する環境を整えることが期待されています。
企業の取り組み
高齢者の雇用促進には、企業の取り組みも重要です。政府は、高齢者に活躍できる職場環境づくりに取り組む企業を表彰する制度を創設するなど、企業の意識改革を促しています。また、企業がシニア向け研修やジョブローテーションなどを実施し、高齢者のスキルアップを支援するよう働きかけています。
エイジレス社会の実現
在職老齢年金の基準見直しは、高齢者の就労促進と企業の人手不足緩和だけでなく、エイジレス社会の実現も視野に入れた取り組みです。高齢者が長く健康的に働き続けることができる社会を目指すことで、経済成長の維持と社会保障制度の持続可能性を確保することが期待されています。
参考サイト